ITALiveとは?
概要
ITALive(英語読み:アイティーエーライヴ、蘭語読み:イタライヴ)は、オランダのアムステルダムにあるInternational Theater Amsterdam(インターナショナル・シアター・アムステルダム)通称ITAという劇場が不定期に行っている舞台のライブ配信です。このITAは世界的に有名な演出家Ivo Van Hove(イヴォ・ヴァン・ホーヴェ)の本拠地の劇場で、ITA-Ensemble(アイティーエーアンサンブル)というシアターカンパニーがあります。
この企画は元はパンデミックの前にイギリスのNTLive(ナショナル・シアター・ライヴ)のような形で映画館で上映することを目的に計画されていたのですが*1、2020年のパンデミックを受けて世界中どこからでも観られるインターネットを通したライブ配信として2020年9月に開始され、そこから不定期ではあるもののとても質の高い舞台のライブ配信を行っています。
ITALiveのページ(英語)
関係者が語るITALiveの魅力や工夫(英語字幕付き)
配信形態
オランダの劇場の公演のためほとんどがオランダ語上演で基本はフランス語字幕と英語字幕がついています。たまに他の地域から招致した作品を配信することがあり、オランダ語上演でないことがありますが、大抵の場合英語字幕はついています。*2
値段は€12.50、日本円でおよそ1,800円程度(2022年12月7日現在)とかなり手頃な価格となっています。
休憩の有無や上演時間は作品により大きく異なりますが、多くの場合現地時間週末(金・土・日)の夜、つまり日本時間土・日・月の早朝に配信が行われます。
そして、これらの配信は一度限りで、アンコール配信、再配信はこれまで行われたことがありません。*3そのため、気になる演目が配信される際は見逃さないようにすることを強くおすすめします。
まとめると以下の通りです。
・上演言語:オランダ語(たまに他の言語)・字幕:英語、フランス語(作品により異なる。要確認。)・値段:€12.50=1,800円程度(2022年12月7日現在)・配信形態:Vimeoを用いたライヴ配信(アーカイヴなし)・配信曜日、時間:現地時間で週末(金・土・日)の夜=日本時間土・日・月曜の早朝・アンコール配信・再配信:なし(気になる演目は見逃さないようにするのを強くおすすめ!)
配信作品
これまでのITALive配信作品
1. ITA-Ensemble『メディア』(Medea)
・現地時間:2020年10月30日(金)20:00〜21:20
・日本時間:2020年10月31日(土)4:00〜5:20
📝オーストラリア出身サイモン・ストーン(Simon Stone)翻案・演出。エウリピデスの『メディア』を1990年代に自身の子どもを殺害したアメリカ人女性デボラ・グリーンの実話と重ね合わせ、翻案。
2. ITA-Ensemble『Who Killed My Father』(Wie heeft mijn vader vermoord)
・現地時間:2020年11月6日(金)20:00〜21:25
・日本時間:2020年11月7日(土)4:00〜5:25
📝イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出。エドゥアール・ルイによる同名作が原作。
3. ITA-Ensemble『The hidden force』(De stille kracht)
・現地時間:2020年11月27日(金)20:00〜22:00
・日本時間:2020年11月28日(土)4:00〜6:00
📝イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出。オランダの小説家ルイ・クペールスの同名作が原作。
4. 『Adem』
・現地時間:2020年12月12日(土)20:30〜21:30
・日本時間:2020年12月13日(日)4:30〜5:30
📝Nasrdin Dcharテキスト&出演、Floris van Delftテキスト&演出。ITA-Ensembleによる作品以外の配信はこれが初めて。
5. ITA-Ensemble『Kings of war』
・現地時間:2021年1月10日(日)第一部16:00〜18:25、第二部20:00〜21:45
6. Toneelschuur Producties『エディに別れを告げて』(The End of Eddy / Weg met Eddy Bellegueule)
・現地時間:2021年1月22日(金)20:30〜22:10
・日本時間:2021年1月23日(土)4:30〜6:10
📝Eline Arbo演出。エドゥアール・ルイによる同名小説(邦訳あり)が原作。
Eline Arboは本作でVSCD directing awardを受賞。Dutch Theatre Festival選出。
7. ITA-Ensemble『ローマ悲劇』(Roman tragedies)
・現地時間:2021年2月14日(日)15:00〜21:30
・日本時間:2021年2月14日(日)23:00〜2月15日(月)5:30
📝イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出。2020年11月に来日予定だった 、シェイクスピアのローマ悲劇三部作『コリオレイナス』『ジュリアス・シーザー』『アントニーとクレオパトラ』を1つにまとめ上げた作品。公演の様子がよく分かる韓国公演の日本語レポートはこちら。
8. IIPM/ミロ・ラウ『再演 演劇史(I)』(La Reprise – Histoire(s) du théâtre (I))
・現地時間:2021年3月7日(日)20:00〜21:40
・日本時間:2021年3月8日(月)4:00〜5:40
9. ITA-Ensemble『オイディプス』(Oedipus)
・現地時間:2021年3月21日(日)20:00〜22:00
・日本時間:2021年3月22日(月)4:00〜6:00
📝ロバート・アイク翻案・演出。
10. ピーピング・トム『Triptych - The missing door, The lost room and The hidden floor』
・現地時間:2021年4月3日(土)20:30〜22:20
・日本時間:2021年4月4日(日)3:30〜5:30
📝ITALive初のダンス作品の配信。
11. ITA-Ensemble / Toneelhuis 『The things that pass』(Na De stille kracht)
・現地時間:2021年4月25日(日)20:00〜22:10
・日本時間:2021年4月26日(月)3:00〜5:10
📝イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出。以前配信された『The Hidden Force』と同じく、ルイ・クペールスの同名小説が原作。
the things that pass|Toneelgroep Amsterdam
12. ITA-Ensemble『A little life』(Een klein leven)
・現地時間:2021年10月1日(金)19:00〜23:10
・日本時間:2021年10月2日(土)2:00〜6:10(途中1回休憩あり)
📝イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出。ハニヤ・ヤナギハラの同名小説が原作。
a little life|Toneelgroep Amsterdam
13. ITA-Ensemble『Ibsen House』(Ibsen Huis)
・現地時間:2021年11月7日(日)19:30〜23:05
・日本時間:2021年11月8日(月)3:30〜7:05(途中1回休憩あり)
📝サイモン・ストーン作・演出。
14. Théâtre de l'Odéon『ガラスの動物園』(La Ménagerie de verre)
・現地時間:2021年11月27日(土)20:00〜21:45
・日本時間:2021年11月28日(日)4:00〜5:45(休憩なし)
・仏語上演、蘭語・英語字幕
📝新国で来日公演が上演予定だったパリのオデオン座によるプロダクション。イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出、イサベル・ユペール主演。
15. Theater Rotterdam『家族の終わりに』(Revolutionary Road)
・現地時間:2021年12月19日(日)20:00〜21:45
・日本時間:2021年12月20日(月)4:00〜5:45
📝映画『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』の原作であるリチャード・イェーツの小説『家族の終わりに』を翻案したもの。Erik Whien演出。
16. Schaubühne Berlin『暴力の歴史』
・現地時間:2022年2月25日(金)20:00〜22:00
・日本時間:2022年2月26日(土) 4:00〜6:00
・独語上演、蘭語・英語字幕付き
17. ITA-Ensemble『ザ・ドクター』(The doctor)
・現地時間:2022年5月22日(日)
・日本時間:2022年5月23日(月)3:00〜5:45
📝ロバート・アイク翻案・演出。2021年秋に日本でもパルコ製作、栗山民也演出、大竹しのぶ主演で上演された作品。(悲劇喜劇2021年11月号に翻訳掲載あり)
18. Theater Rotterdam / Erik Whien『スローターハウス5』(Slachthuis vijf)
・現地時間:2022年9月4日(日)20:30〜22:00
・日本時間:2022年9月5日(月)3:30〜5:00
これからのITALive
◆ITA-Ensemble / Ivo Van Hove 『Age of Rage』
・現地時間:2022年12月11日(日)19:00〜22:45(休憩込み)
・日本時間:2022年12月12日(月)3:00〜6:45(休憩込み)
・オランダ語上演、英語字幕つき
📝イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出。2021年初演の新作。『ローマ悲劇』『Kings of War』と同じく複数の作品を1つにまとめ上げる。今回元となるのはアイスキュロス、エウリピデスのギリシア悲劇(『アウリスのイピゲネイア』『トロイアの女』『ヘカベ』『アガメムノン』『エレクトラ』『オレステス』)。
◆ITA-Ensemble / Luk Perceval『The year of cancer』
・現地時間:2023年1月13日(金)20:00〜21:45
・日本時間:2023年1月14日(土)4:00〜5:45
・オランダ語上演、英語字幕つき
📝ベルギーの作家フーゴ・クラウスによる同名小説を基にした作品。ルク・パーシヴァル(Luk Perceval)が翻案、演出。彼はNTGentのThe Sorrows of Belgium三部作などを手掛けている。
→主にテクニカル部門の人員不足のため、春からのプログラムが大きく変わり、こちらの配信は中止になりました。(参照)
チケット購入方法
*2022年8月から新しいチケットシステムに変わり、以前購入したことのある人でもパスワードの変更が必要となっています。ログインの際にログイン画面にある赤字の「Forgot password?」をクリックし、パスワードを更新してください。
ITAのサイトに登録する
配信を視聴するには、まず劇場のサイトに登録する必要があります。
既に登録済みの方は「チケットを購入する」に移ってください。
また登録してない方はこちら にアクセスし、左下の「Create profile」をクリックしてください。
するとこのような入力画面が出てくるので以下の通りに情報を入力していきます。
Full name:フルネームを入力する。
Email:メールアドレスを書く。
Confirm Email:Emailで書いたメールアドレスをもう一度入力する。
Mobile:携帯番号。日本の番号の場合、「090-1234-xxxx」は「+81 90-1234-xxxx」と入力。
Password:設定したいパスワードを入力。
そこまで入力ができたら「Register」をクリックしてください。そしたら登録完了です。
チケットを購入する
①まず作品ページに行き、「Oder tickets」(画像赤丸部分)をクリックします。
②以下のような画面が出るので、「LIVESTREAM」(画像赤線の四角で囲ってある部分)と書いてある公演を選択し、「ODER TICKETS」(画像赤丸部分)をクリックします。ちなみに「LIVESTREAM」と書いてないものは現地の公演を購入するページとなります。
③「+」「−」をクリックしてチケット枚数を選択し「Find Tickets」をクリックします。
④以下のような画面になるので、右下の「Add to bascket」を押します。
⑤枚数とチケットの値段を確認し、右下の「Pay」をクリックしてください。
⑥(ログインをしていなかった場合)以下のようなログイン画面になるので、メールアドレスとパスワードを入力して「Sign in」をクリックしてください。
⑦以下のような画面に移ります。(個人情報のところは黒く塗りつぶしてあります)埋まっていない部分を入力していきます。
*マークがついている項目=以下の【必須】の項目は必ず入力してください。
①Title【必須】:称号。「X」「Mr.」「Mrs.」から選択。
②First name【必須】:下の名前を入力。
(・Prefix:必要な人だけ入力。)
③Surname【必須】:上の名前を入力。
④E-mail【必須】:メールアドレスを入力。
(⑤Mobile:携帯番号。日本の番号の場合「090-1234-xxxx」という電話番号は「+81 90-1234-xxxx」と入力。)
⑥Country【必須】:住んでいる国を選択。
⑦Post Code 【必須】:郵便番号。日本在住でもそのまま入力。
⑧House Number【必須】:Street Number、丁目・番・号を入力。(1-2-3)
(⑨Extension:何か追加で書くことがあれば。記入欄のないアパート名、部屋番号など。)
⑩Street name【必須】:Street Name=市町村名に続く住所、つまり「区」「字(あざ)」を入力。
⑪City【必須】:市町村を記入。「〇〇-shi」「〇〇-machi」などでOK。
(⑫DATE OF BIRTH:生年月日を選択。日→月→年の順。)
(⑬Newsletters and notifications:受け取りたい案内にチェック)
(⑭Voucher code:もし何かクーポンコードなど知っていて、必要であれば入力。)(⑮Gift Card / Credit Voucher / Enjoy Later Voucher:入力不要。)
⑯Payment Information【必須】:「
全て入力、チェックしたら右下の「Continue」をクリック。
⑧支払い方法を選択し、支払いを進めます。
⑨最後にこの画面が出て、購入完了メールが届けば購入可能です。(個人情報のところは黒い四角で隠しています。)
*おまけ:クレジットカードを持っていない場合
PayPalを利用して銀行口座を登録して支払う方法があります。事前にPayPalの会員登録とPayPal内の銀行口座登録を済ませ、上記の「CHOOSE PAYMENT METHOD」から支払い方法を選択する際にPayPalを選択し、支払いを行なってください。クレジットカード情報を直接劇場のサイトに打ち込むのが怖いという方もPayPal経由でのクレジットカード支払いが可能なので、是非チェックしてみてください。(以下、日本語サイト)
視聴方法
1時間前になると以下のようなメールが送られてきます。
英語字幕付きで見たい場合、一番上のリンク(青い四角に白い文字のオランダ語で「Klik hier om de livestream te bekijken」 書いてあるところ)ではなく、メール中央の青い四角に白い文字で「Click here to watch the livestream」と書いてあるところをクリックします。
上の画像は仏語字幕がなかった回でしたが、仏語字幕がある場合、そのさらに下に仏語で同様のボタンがあるので、仏語字幕で見たい方はそこをクリックしてください。
Vimeoのログイン画面(下の画像参照)に移るので、上のメール画面の画像で赤い四角で隠してあるところにあるパスワードを入力しログインします。
ログインすると、動画再生画面に移り、以下の画像のようなものが流れるので再生した状態で時間まで待機します。
時間になるとイヴォ・ヴァン・ホーヴェが登場し挨拶と今日のITALiveの作品を紹介します。彼の挨拶と紹介が終わると、本編開始です。
おわりに
以上、ITALiveについてざっくりとまとめてみました。新しい配信情報は私のTwitterまたはこの記事の「今後の配信」、またはこのブログの配信情報をまとめている記事をご覧いただければと思います。
「配信形態」のところで述べたように、ITALiveは再配信のない一度限りのライブ配信なのですが、実は様々な世界の国際演劇祭で海外から作品が招致できなくなった時の代替案として、そして韓国などでは劇場での舞台映像上映企画の一環として、ITALiveの映像の上映がされていることがあります。(もちろん韓国なら韓国語字幕など各国の字幕付き)そのため、少しでもこの企画の知名度が上がって、またはどなたが劇場関係の方の目に留まって、日本でもそのような日本語字幕付きでの上映企画が企画されたらいいなと密かにずっと願っています。作品の紹介としてはもちろん、ライヴ配信でこんなにも素晴らしいクオリティの配信ができるという演劇作品の撮影・配信技術の紹介としても重要だと思います。
この記事を通してITALiveを新たに知る方、またはITALive挑戦してみようかなという方が1人でも増えたら嬉しいです!
*1:Michiel Kruijt, Première in de Amsterdamse Stadsschouwburg luidt nieuwe tak van sport in: livestreamen vanaf de toneelvloer, de Volkskrant, 31 October 2020, https://onl.la/p2dZwFn, accessed 16 February 2022.
*2:『スローターハウス5』のみ英語字幕がありませんでした。
*3:しかし、一度『Kings of War』の配信で長時間の中断があり、その際に観ていた人に向けて1週間のアーカイブ配信が行われたことはあり。また、国際演劇祭や上映企画などで上映・配信されるはあります。(詳しくは「おわりに」参照)ただ、通常の再配信は1度もありません。